性虐待を受けて育った子の未来

幼少期に性的虐待を受けた子供の未来は果てしなく闇です。

暗いトンネルを死ぬまで抜け出すことはできないのです。



性犯罪の加害者は大体近親者によるものだそうです。

実父、義父、兄弟、従兄弟、近所住民の順に多いのです。



世の中の幼女誘拐事件などより遥かに多く、身近に日常的に行われているのです。

そして、家庭内は逃げ場がなく、1度きりのレイプだけではすまされません。

長期的に続くことが多いのです。

本当に卑劣です。



どうしてそのような人間の理性のかけらもないような非道徳的なことをして、平然と家族を装い生活していけるのか。

罪悪感などというものを持ち合わせていない獣。

自分の欲望を満たすために、子供の人格、未来を虫けらのように潰す。

被害者の9割は、被害に合っている間、抵抗することができないでいる。

「なんで抵抗しないの?私なら絶対抵抗するし」と、無神経なことをいう人がいる。

実は、家族に相談しても同じような言葉が返ってくることが多い。

「(加害者が)そんなことするわけない」とか「(被害者が)誘ったんじゃないか」とか「嫌だったら自分で嫌だと言いなさい」とか。

そこで家族は自分の味方ではないのだと落胆し、誰にも相談できなくなり自分の中だけにしまっておこうと決める。

親が話をまともに聞いてくれない、そもそも、そのような行為をされてることに気付けない親が話を聞き入れるような人間ではないのです。

なぜ抵抗できないのかわかりますか?



いけないことをされているということを分かっているからです。



よく、何をされているか理解できなかったという方もいますが、4〜5歳頃にはいけないことをされてることは理解できています。

小さい子供だからって何をされてるか分からないことはないんです。

はっきり何をされているか理解しています。

ただ言葉が未発達なので何があったか伝えることができないので、大人から理解されず諦めて黙るしかなくなるのです。

そんなことされて恥ずかしい、大切な人を傷つけてしまうのではないか、周りに助けてくれそうな人がいない、抵抗したらもっと酷い目に合うなど、子供ながらにきちんといろんなことが頭をよぎり自分で解決しようとします。

だから自分さえ我慢していれば、誰も傷つかず、今まで通りに暮らせる、 


自分の居場所がなくなることが子供にとって一番の恐怖


なのです。



子供は健気です。

そんなことをされても家族でいたいのです。

自分さえ我慢していれば、大好きな家族、お母さんお父さんを悲しませたくない、そんな風に考えるのです。



そして、自分を殺して生きていくことを選ぶのです。



いつも絶望し、幼くても死ぬことを考えて生きていくのです。

いつもいつもいつも、死ぬことばかり考えているのです。

でも死ねないのです。だから自分を殺すのです。

現実の自分を殺し、違う自分を演じることを選ぶのです。

それはもう人格を自殺させます。

私であって私ではない。

まともな大人になるのは困難です。



いくら、大人になってからカウンセリングを受けても、裁判で勝訴しても、加害者本人から謝罪されたりしても何も解決しません。

心は以前と何も変わらないのです。

悪夢から覚めることはできません。

ふとした時に思い出したり、トリガーになるものに触れると思い出したり、いわゆるフラッシュバックは一生付きまとうのです。



見ず知らずの他人から被害に遭うのと違い、近親者、自分が信頼していた相手から裏切られた心は雪の塊となり、永遠に溶けることはないのです。

いつも疑いの目を持ち、愛することも愛されることも受け入れられずにいます。

偽りの自分を演じてきたことで、本当の自分がいないからです。

希望や夢など持てません。

自分はすでに死んでしまったからです。



性虐待によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は戦争帰還兵のPTSDより遥かに重い障害だそうです。

幼少期の脳の発育段階でそのようなストレスがかかると、明らかに脳萎縮が見られたそうです。

脳萎縮が起これば、空間認知能力、記憶力、注意力の低下、慢性疲労症候群、免疫システムの異常、自己免疫疾患など、精神以外にも様々な体の異常が発病します。

それにより、重大な病気を患ったりする傾向が健常者よりも多いのです。

そのような状態で社会に放り出されても、まともに社会適応することは困難です。

それでも、まともを装って社会に出ますが、健常者に比べてまともに仕事をすることが出来ないし、人間関係でもうまくいかなことが多いのです。

なので問題が起きたり、仕事がうまくいかず辞めたり、普通の人が乗り越えられることも性被害者にとっては困難なことになるのです。

甘えてるとか、根性が足りないとか、事情を知らない周りから見たらそう映るでしょう。

性被害に合わなかった幸せな人が分かるはずがありません。



もし、結婚して子供を産んだとしても、その先に困難が待ち受けてます。

我が子を自分の子供時代と重ねてしまうからです。

何といってもこれが一番の試練かもしれません。

結婚相手の理解がなければとても難しいです。

結婚生活が破綻し、母子家庭になったり、再婚したり 、我が子にも同じ試練を与えてしまう可能性も少なくないでしょう。

よく乳幼児殺害事件などを起こす母親は、大抵は家庭内性被害に合っていた母親が多いです。

ある意味、そうなることは必然なのかもしれません。

よほど強い人間かおかしい人間でない限り、性被害にあって普通でいられる方が異常ではないでしょうか?



時間が解決できない唯一の傷かもしれません。

自尊心と身体を両方傷つけられるのですから。

その加害者が身内という、これ以上残酷なことがありますか?

性虐待を受けて育った子の未来は暗闇しかありません。

そこに光は永遠に見えません。

治す薬はありません。

ただひたすら、ニセモノの自分と生きるしかないのです。

殺してしまった自分は呼んでも返事はありません。

押入れの奥で膝を抱え、幼いままの私は冷たくなっていました。

いつか生き返ることができるのでしょうか。

多分ありません。

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